サブカルworkshop

仮面ライダーディケイド×セイバー 上巻「集う物語、戦う剣士。」

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・登場人物紹介

 門矢士 / 仮面ライダーディケイド・・・・・・数多くの仮面ライダーの世界を旅し、世界の危機を救ってきた。自身に関する記憶をほとんど失っている。
 光夏海・・・・・・光写真館の主人の孫娘。どういうわけか光写真館で士たちは時空を越えることができる。
 小野寺ユウスケ / 仮面ライダークウガ・・・・・・「クウガの世界」の仮面ライダー。「クウガの世界」で士と共闘したのち、共に世界を旅するようになる。
 神山トウマ / 仮面ライダーセイバー・・・・・・「セイバーの世界」の仮面ライダー。聖剣の力でメギドとなった人々を救う。
 仮面ライダーカリバー・・・・・・「セイバーの世界」に突如現われた、邪剣を操る謎の仮面ライダー

 

○光写真館前

   士、夏海、ユウスケ、光写真館から出てくる。

ユウスケ「ここが次の世界か~」
夏海「どんな世界なんでしょう?」

   士、昭和の文豪のような格好をしている。

ユウスケ「士、なんだその格好」
夏海「なんだか作家さんみたいですね」
ユウスケ「それにしても昔過ぎない?」
士「作家か……それがこの世界での俺の役割か」

   士、写真を撮り始める。
   士たちの目の前を三匹の子豚が通り過ぎる。
   子豚たちはそれぞれわらの家、木の家、レンガの家に入っていく。

夏海「あれって……」
ユウスケ「『三匹の子豚』だよね?」

   周りを見渡すと、雲に乗って空を飛ぶ猿、お菓子の家から出てくる兄妹、並んで音楽を奏でるロバ、犬、猫、ニワトリの姿が。

夏海「これは一体?」

   士、ランプを拾いあげて擦ると、ランプの中から魔人が出てくる。
   驚くユウスケと夏海。

士「だいたい分かった。ここは物語の登場人物が住んでる世界か」
ユウスケ「えっ?ライダーの世界じゃないの?」
士「知るか。とにかくこの世界で俺のやることを探すとするか」

   道端でバイオリン弾くキリギリスと、その音楽に合わせて踊るアリ。

夏海「これは『アリとキリギリス』ですね」

   アリとキリギリス、突然震え出し、メギドに変貌する。
   メギド、周囲の人々を襲う。

夏海「(驚いた声で)どういうことですか?」
ユウスケ「とにかく襲われてる人たちを助けないと」
士・ユウスケ「変身」

   士とユウスケ、変身してメギドと戦闘。
   ディケイドとクウガ、メギドを圧倒していき、必殺技を決めようとする。

トウマ「待ってください!」

   トウマ、ディケイドとクウガの前に立ち塞がる。

クウガ「危ない!離れてて!」
トウマ「いえ、これは僕の使命なので」

   トウマ、聖剣ソードライバーを装着し、懐からブレイブドラゴンワンダーライドブックを取り出す。

クウガ「本?」
トウマ「変身」

   トウマ、仮面ライダーセイバーに変身する。

クウガ「もしかしてこの世界の仮面ライダー?」

   セイバー、メギドと戦闘し、必殺技でメギドを斬る。
   メギド、元の姿に戻る。
   セイバー、変身を解除し、アリとキリギリスの元へ向かう。

トウマ「大丈夫?」
アリ「ありがとう、トウマ」
キリギリス「死ぬかと思った」

   ディケイドとクウガ、変身を解除する。
   トウマ、士たちの元に来る。

トウマ「門矢士さん、小野寺ユウスケさん、光夏海さんですね」
夏海「どうして私たちの名前を?」

 

○山頂

   謎の人物、持ってる剣を地面に突き刺す。
   そこから闇が出てきて、山のふもとにある街まで流れていく。

 

○トウマの自宅

   トウマの自宅には、夥しい数の本が本棚に収納されている。
   トウマ、士たちにお茶を出す。

夏海「ありがとうございます」
トウマ「この世界は、あらゆる世界で語られている物語の登場人物たちが暮らしています。
    物語を作った人のイメージ、それを読んだ人のイメージ、様々な人たちの物語に対するイメージが形となっています」
夏海「あらゆる世界って、もしかして私たちの世界とか並行世界のことですか?」
トウマ「はい、この世界はすべての並行世界と繋がっています。
    そして、それらの世界の情報はここにある本に全て記されています」
ユウスケ「全部!?すごっ……」
夏海「それじゃあ士くんのことも分かるんじゃないですか?」
トウマ「残念ながら……」

   トウマ、本棚から一冊の本を取り出し、「門矢士」の項目を士たちに見せる。

夏海「『門矢士』...…『仮面ライダーディケイド』……これだけですか?」
トウマ「夏海さん、ユウスケさん、お二人のことは詳細に書かれていますが、士さんのことは……」
夏海「そんな……」

   士、本を手に取り、ページをペラペラめくっていく。

士「別に構わん。俺が何者であろうが、俺は俺だからな」
トウマ「士さんは強いですね」
夏海「何も考えてないだけですよ」
士「よし、夏ミカンの黒歴史でも読んでやるか」

   士、立ち上がって、本棚の方へ向かって行く。

夏海「(慌てた様子で)やめてください!光家秘伝、笑いのツボ!」

   士、夏海にツボを押され、勝手に笑い出す。

士「(笑いながら)夏ミカン!お前、ふざけんな!」

   士、机の上に置いてある原稿に気づき、それを手に取る。

士「何だ、これは?」
トウマ「(慌てた様子で)あっ、それは!」

   夏海、横から原稿を覗き込む。

夏海「『三匹の子豚』、『ランプの魔人』……、もしかしてこれって……」

   トウマ、士から原稿を奪い返す。

士「俺じゃなくて、お前が作家とはな」

   原稿の表紙には「ワンダーストーリー / 神山トウマ」と書かれている。

トウマ「(恥ずかし気な様子で)作家だなんて……ただの趣味です」
ユウスケ「やっぱこの世界で暮らしてると、色々と物語が浮かんじゃうんだ」
トウマ「書いたところで読ませる人はいませんけどね」
士「それより、あの怪物は何なんだ?」
トウマ「(気を取り直して)あれはメギド、物語のイメージが暴走したことで生まれる怪物です」
夏海「イメージが暴走?」
トウマ「この世界の住人は物語のイメージが具現化した存在です。
    だけど、その物語の作り手が亡くなったり、物語を読む人々のイメージがブレたりすることで、住人の存在は危うくなります」
ユウスケ「イメージがブレるって?」
トウマ「『アリとキリギリス』は知ってますか?」
夏海「はい」
ユウスケ「もちろん」
トウマ「では、その物語の結末は?」
ユウスケ「冬の備えをせずに遊んでばかりいたキリギリスが、凍え死にそうになっていたところをアリに助けてもらうんだよね」
夏海「違いますよ。遊んでばかりのキリギリスは、アリに食べ物を分けてもらおうとしたけど、断られて死んでしまう……ですよね?」
ユウスケ「えっ?違うって」
夏海「そっちが間違ってますよ」
トウマ「いえ、どちらも合ってます。
    物語は時代、土地、人によって変わります。
    それによって、物語に対するイメージはブレ、イメージが暴走した結果、住人はメギドに変わってしまう」
士「だいたい分かった。そのメギドをお前の剣で斬ることで、元の姿に戻すってことか」
トウマ「はい」
ユウスケ「だからさっき俺たちのことを止めたのか」
トウマ「メギドは他の住人を襲うという危険もありますが、それ以上にイメージの暴走が物語を通して並行世界に影響を与え、最悪世界の消滅を招く危険性があります」
夏海「世界の消滅……」

   トウマ、聖剣とワンダーライドブックを取り出す。

トウマ「だから僕はこの聖剣と物語の力が込められたワンダーライドブックを使って、暴走したイメージを元に戻しているわけです」
ユウスケ「そんな大変なことを一人でやってるの?」
トウマ「ええ、それが僕の使命ですから」
夏海「ずっと気になってたんですけど、トウマさんって何の物語の登場人物なんですか?」
トウマ「(言いづらそうな様子で)それは……」

   三匹の子豚、慌てた様子でトウマの自宅に入ってくる。

子豚「トウマ!」
トウマ「どうしたの?」
子豚「メギドが……!」

 

○トウマの自宅

   誰もいないトウマの自宅に謎の人物の姿。
   謎の人物、机に置いてあるトウマの原稿に近づく。

 

○街

   暴れるメギド、逃げ惑う住人たち。
   士たち、現場に到着。

トウマ「ここは僕に任せてください。変身」

   トウマ、変身し、メギドの方へ走り出す。

ユウスケ「士、俺たちは襲われてる人たちを助けよう」
士「ああ」
士・ユウスケ「変身」

   士とトウマ、変身し、襲われてる人たちを助けようとする。
   もう一体メギドが現れる。

クウガ「他にもメギドが!?」

   クウガ、もう一体のメギドも退ける。
   続々とメギドが現れる。

クウガ「こんなにもメギドが!?」

   メギドたちに取り囲まれてる人々。

クウガ「あの人たちが危ない!」

   ディケイド、仮面ライダーウィザードにカメンライドし、《アタックライド・バインド》を用いてメギドを拘束する。
   セイバー、拘束されたメギドを斬り、元の姿に戻す。

ディケイド「おい、こんなにメギドが出るとか聞いてないぞ」
セイバー「いえ、こんなことはじめてです」
クウガ「一体何が起きてるんだ?」

   カリバー、士たちの目の前に現れる。

クウガ「誰だ?」
セイバー「あれは聖剣?それにワンダーライドブックも」

   カリバー、剣を地面に突き刺す。
   そこから闇は現れ、その闇に包まれた人々はメギドに変わる。

セイバー「みんながメギドに!?」
クウガ「おい!お前は何者だ!?」

   カリバー、クウガを斬りつける。

ディケイド「ユウスケ!」

   カリバー、セイバーを斬りつけようとする
   セイバー、カリバーの剣を受ける。

セイバー「あなた、何者ですか?」
カリバー「俺はお前だ」
セイバー「何?」

   ディケイド、仮面ライダーブレイドにカメンライドし、カリバーを斬りつける。

ディケイド「トウマ!こいつは俺が相手する。
      お前はメギドを元の姿に戻せ」
セイバー「はい!」

   セイバー、メギドの方へ走り去る。

カリバー「お前はこの世界の人間ではない。さっさと立ち去れ」
ディケイド「悪いが、人に命令されるのは嫌いでね」
クウガ「超変身」

   クウガ、タイタンフォームへフォームチェンジし、ディケイドの加勢をする。

カリバー「お前も別世界の人間。まとめて消えてもらう」
クウガ「トウマくんと同じ剣と本を持ってるのに、なんでこんなことするんだ?」
カリバー「俺がセイバーと同じだからだ」
クウガ「何だって?」

   セイバー、すべてのメギドを元の姿に戻す。
   ディケイドとクウガ、カリバーを圧倒し、必殺技を打ち込む。
   カリバー、爆発する。
   ディケイドとクウガ、変身を解除する。
   トウマ、士たちの元に来る。

トウマ「みんな、元の姿に戻しました」
ユウスケ「俺たちもあいつを……。しかし、あいつ、何者だったんだ?」

   カリバー、炎の中からトウマと瓜二つの姿(闇トウマ)を現す。

トウマ「えっ?」
ユウスケ「トウマくんがもう一人?」
闇トウマ「(邪悪な笑顔を浮かべながら)よお、俺」
トウマ「あなたは何なんだ?どうして僕の姿を?」
闇トウマ「言っただろ?俺はお前、お前は俺」
トウマ「だからそれはどういう意味なんだ!?」
闇トウマ「そう怒鳴るなって」

   闇トウマ、トウマの原稿を取り出す。

ユウスケ「それはトウマくんの!」

   闇トウマ、原稿を剣で真っ二つに斬る。
   すると、住人たちが消滅していき、世界の崩壊が始める。

トウマ「みんなが消えていく……それに世界も……どうして……」
闇トウマ「これは全部お前が望んだことなんだぜ。
     俺はそれを叶えてやってるんだよ」
トウマ「僕が望んだこと……?
    (震えた声で)違う……僕はそんなこと!」

   トウマ、叫びながら変身し、カリバーの方へ突っ込んでいく。

 

                                ー下巻へ続くー

『僕は僕を好きになる』~僕たちは乃木坂46をもっと好きになる~

 昨年の『しあわせの保護色』以来、10ヶ月ぶりのCDでのシングルリリースとなる、乃木坂46の26枚目のシングル『僕は僕を好きになる』。毎回注目のMVだが、今回も面白い作品ばかりなので書きたいと思う。白石麻衣卒業後、乃木坂はどこへ向かっていくのか。今回のMVはshort ver.になるのだろうか。

 

僕は僕を好きになる(監督 奥山大史)

  

 表題曲。センターは山下美月
 MVの内容としては、アイドルとしての自分と、プライベートの自分の境界線が曖昧になっていく中で、仲間と共に前に進んでいく姿が描かれている。この内容を皮肉と読み取るかどうかは、観た人の解釈にゆだねるとして、「芸能人が消費される」ってどういうことなのだろうか。
 ある芸能人がテレビなどでヒットしたパターンを、色んな番組がこぞって使い、そのパターンが飽きられる頃には、その芸能人が持つ別の側面や新たな可能性に誰も興味を持たなくなってしまうことなのか。
 世間のイメージを演じ続けることで、いつしか本当の自分を見失っていくことなのか。
 どっちにしろ、求められたものがいつしかその人のすべてであるかのようになってしまうことなのだろう。
 今日では、俳優にしろ、アーティストにしろ、その人の表現しているものよりも、その人の内面・人柄が重視される傾向にあるように思われる。それは、握手会などでファンとの距離感が近くなったアイドルや、テレビに出てくる芸能人よりも親しみやすさを感じられるYoutuberの存在が大きく影響しているのかもしれない。
 しかし、そういったアイドルやYoutuberから受ける印象が、100%その人のすべてというわけではない。ファンに見せる顔、友人に見せる顔、家族に見せる顔、すべてが同じ人などほとんど存在しないだろう。あなたに見せる顔は、その人の持つ仮面の一つに過ぎない。
 だからこそ、その人の内面がどうであれ、作品の中で表現する姿を純粋に評価される、そんな世の中であってほしいなと切に思う。まあアイドル応援してる奴が何言ってるんだって言われるかもしれないけど……。
 少なくとも私はMVの内容を皮肉だとは思わない。それでもこういったことを考える機会ぐらいは与えてくれているのだとは思う。

冷たい水の中(監督 山戸結希)

  

 堀未央奈のソロ曲。
 昨年、突然MVが公開され、その中で堀が卒業を発表する、という異例の展開に、多くのファンが衝撃を受けたと思われる。監督は『ごめんね ずっと・・・』や『ハルジオンが咲く頃』のMV、堀の初主演映画『ホットギミック』を手掛けた山戸結希。
 終盤、堀がセーラー服を脱ぎ捨てるが、やっぱりアイドルは若さ、フレッシュさが重視されるのされるのだろうか(とはいえ、堀はまだ24歳だが)。これまでのMVの再生回数から見ても、新しく入った4期生が注目されているのがわかるが、すぐ若い子に切り替えるファンの気持ちがわからない。そもそも本当にそういう人がいるのかどうかもわからないけど。
 個人的に堀の演技が好きなので、彼女が卒業後ドラマや映画で見られるのを楽しみにしておく。

Wilderness World(監督 東市篤憲)

  

 『世界で一番 孤独なLover』にしろ『夏のFree & Easy』にしろ、なぜ乃木坂は都会的でありながらも、都会に溶け込まず、違和感を出すことができるのだろう。とはいえ、交差点でのシーンは、本当の渋谷ではなく、栃木県にあるオープンセットで撮影したらしいが。
 武器を手にするメンバーの姿は『バレッタ』のMVを彷彿とさせるが、今作では(一部制服を着たメンバーはいるものの)スタイリッシュな出で立ちで、グループとして成熟した様子を見られる。
 個人的ツボは、おもちゃで遊んでいるようにしか見えない爆弾魔・与田祐希、瞳に虚無を宿した殺し屋・堀未央奈、後継者を育成する高山一実

口ほどにもないKISS(監督 頃安祐良)

  

 アンダー曲。監督曰く、ウェス・アンダーソン監督と『小さな恋のメロディ』へのオマージュらしいが、無知なため、どこら辺がオマージュになっているのかは全くわからない。

  しかし、北野日奈子鈴木絢音が駆け落ちするという設定だけでも、ファンとしては満足なのではないだろうか。阪口珠美の出番は、センターにしては少なめだが、北野と鈴木とババ抜きするシーンでわかる阪口の想いや、最後の「バイバイ」でしっかり印象を残している。
 また、『教場Ⅱ』の撮影のためか、ほとんど出番のない樋口日奈も、「駆け落ち請負人」という役柄だけで爪痕を残すのはさすが。

Out of the blue(監督 N2B)

  

 4期生曲。
 昨年は『I see...』で話題となった4期生だが、今作では新4期生も参加し、終始枕投げをしている。そして、エンドロールではダンスシーンというご褒美もある。
 VFXなどでそれなりにお金がかかっていそうな印象があるが、本気で枕投げするメンバー(特に目に殺意を宿した早川聖来、清宮レイ)の好演によって、決して見劣りしない映像に仕上がっている。
 個人的には、最後のダンスシーンが始まる前の、疲れ切った表情をした他のメンバーに対して、枕投げに参加しなかった遠藤さくらと北川悠理の、生き生きとした表情が好き。

 

終わりに

 今回いまいちMVの再生回数の伸びが悪い気がするが、今年も乃木坂46が面白いものを見せてくれるのを楽しみにし、本当に面白ければ存分に楽しみたいと思う。
 OGもどんどん活躍の場を広げているので、現役、OG含めて「乃木坂46」の活動を見守っていきたい。

2021年冬ドラマ視聴状況&年末年始SPドラマ【随時更新予定】

 2021年冬ドラマについて書く前に、年末年始のSPドラマについても書いておこうと思う。(『逃げ恥』はまだ観てないので、観てから書く予定)

岸辺露伴は動かない

 これまで『ジョジョ』に触れずに生きてきたが、今回高橋一生が主演で実写化されるということで、原作1巻を読んだうえで視聴。(ちなみに『ジョジョ』本編も第4章から読み始めてみた)
 1話の「富豪村」から満足の出来。あえてスタンドは見せずにヘブンズ・ドアーを説明し、ヘブンズ・ドアーの描写もお見事。
 脚本を手掛けた小林靖子の構成力はさすがの一言だし、キャスト、衣装、美術、演出すべてが高水準で、原作が独特の世界観ながら、地に足のついた実写化がされており、かなりの傑作。

・教場Ⅱ

 昨年キムタクのこれまでのイメージを覆す役柄で話題を呼んだ作品の続編。
 前作同様、面白かったのだが、謎をやたら後ろに引っ張る傾向があって、構成にやや難があったように思われる。(前作もこんな感じだったっけ?)
 とはいえ、主演の木村拓哉を筆頭に、キャストの熱演は良かったし、また続編を作ってほしい。

・DOCTORS~最強の名医~ 2021新春スペシャ

 前回からもう3年も経ってるのかと思いながら、10年近くシリーズが続いて、キャストが変わってないのすごいなあとも思う。
 基本的にこのシリーズは安定して面白いので、安心して観られる。卓ちゃん(高嶋政伸)が成長しているのかどうかよくわからないが、無事堂上総合病院が創立100周年を迎えられることを祈る。

 

ここからは2021年冬ドラマについて書いていく。
放送日時は関西地方に準拠。
視聴継続確定または予定のドラマのみ記述。

 

月曜日

・監察医 朝顔

 1クール目は、桑原(風間俊介)が異動となって家族と離ればなれになり、平(時任三郎)が東北へ移住した矢先に認知症の疑惑が出たり、万木家に大きな変化が続いたが、後半どのような結末を迎えるのか見届けていこうと思う。第1シリーズってこんな波乱だらけだったかな。
 そういえば、大谷亮平が全然出てこないけど、ゾンビ退治で大変なのだろうか。

火曜日

・青のSPー学校内警察・嶋田隆平ー

 観る前は、スクールポリスが生意気な生徒たちを、警察官の権限を使って強引な方法ながらも教育していくストーリーと勝手にイメージしてたんだけど、ガチの犯罪者が出てくるとは思わなかった。
 面白くないわけじゃないのだが、これからずっと学校内で逮捕者出まくったら、学校の人気ガタ落ちだけど大丈夫?ってツッコミたくなってしまう。(それを言ったら『教場』も生徒が犯罪者だらけでツッコミ所満載だが・・・)
 まあテンポもいいし、ドラマを観てスカッとしたい人にはもってこいの作品だと思う。

水曜日

・相棒 19

 前の記事で、新レギュラーの出雲麗音を扱いきれるかどうかと書いたが、特命係と捜査一課の橋渡し役となっており、ちゃんとドラマにハマっててよかった。
 新年最初のレギュラー回は、みんなのコントが観られて楽しかった。
 あと、内村刑事部長が昨年生まれ変わったが、今後の展開に影響の及ぼすのだろうか。(その場限りの話かもしれない)

 ・ウチの娘は、彼氏が出来ない!!

 本作のタイトル、内容が発表された際、ネット上では「オタクのイメージが古い」とか「恋愛してなくて悪いか」とか言われたが、別にドラマ内でのセリフ=作り手のメッセージっていうわけではないし、そういうネットでの意見こそ価値観の押し付けのような気がするのだが。私は20代前半だが、今時のオタクのいわゆる平均像というものが全く分からないし。ちょっとみなさん敏感すぎませんかと思う。
 とはいえ、まさか初回冒頭からこんなにスベリ散らかすとは思わなかった。「こういうのが面白いんでしょ」って狙って出してる感が強くて、その癖スベってるから痛々しさが尋常じゃなくて。メタネタだって出せば面白いわけじゃないからな。
 浜辺美波ってなんでこんなにドラマの当たりが悪いのだろう。若い子に人気だからか、その人気にあやかって大して企画を練らずにオファーするからだろうか。浜辺美波のために1クール完走することはできるだろうか。

・おじさまと猫

 最初、猫が人形って聞いて不安しかなくて、設定上ブサイクな猫を出さなければならないので致し方無いのかなと思った。実際観てみると、慣れれば悪くないかなと思ったが、やっぱり猫の目が死んでるので、そこに気持ち悪さを感じる。
 ドラマとしては可もなく不可もなくといった感じ。おじさまと猫(人形)に癒されたい人はどうぞ。

木曜日

・夢中さ、君に。

 今注目の漫画家・和山やまの作品を初の映像化。
 ドラマの事前情報なしで視聴したので、『仮面ライダーゼロワン』の高橋文哉と元乃木坂46伊藤万理華が出てるとは知らなかった。
 1話に関しては、前半の林美良(大西流星)編は正直ピンとこなかった。林があまりにも掴み所がなさすぎて、いまいち魅力が伝わってこなかった。後半の二階堂明(高橋文哉)編は、逆にわかりやすく、高橋文哉の陰キャ感もよくて、面白かった。
 2話を観て、林編はそっちを先にした方が、魅力が伝わりやすかったのではないかと思った。

金曜日

・直ちゃんは小学三年生

 1話観たときは、いまいちストーリーに魅力がなくて、単に大人が小学生を演じているのを楽しむだけのドラマに思えた。しかし、2話で、いい意味でのバカバカしさ、つまり小学生たちが下らないことで本気になる感じのストーリーになっていて、かなりいいドラマになっていると思う。
 竹原ピストルは髭面なのに、なんで小学生役に違和感がないのだろう。いや、違和感はあるけど、変なやらしさを感じないというのが正しいのか。
 2話からは小学生役で他にも俳優が出演するので、そこもかなり楽しみ。

土曜日

・書けないッ!?~脚本家 吉丸圭祐の筋書きのない生活~

 今季やってるドラマの中にも、主人公のような、プロデューサーや俳優の無茶ぶりに振り回されている脚本家がいるのかもしれない。(東映特撮は、プロデューサーやバンダイに、脚本家が振り回されているような気もするが・・・)
 脚本を手掛ける・福田靖の実体験が織り交ぜられているのだろう。追い詰められて、頭がツルツルの男の幻覚を見たりしたのだろう。
 普段ドラマを観ている人間からしたら、虚実入り混じりながらでもこういった裏側が見られるのは楽しい。

・ここは今から倫理です。

 中学時代、私は地理や歴史の成績が壊滅的で、高校に進学してからは消去法で倫理・政治経済を選択した。「倫理は選択科目だが、人生において必修科目である」というセリフがあるが、例え人生に役立たなかったとしても、先人たちの考え方を知るだけでも楽しい科目だと思う。
 様々な悩める人を救うドラマになっているだろう。

日曜日

・天国と地獄~サイコな2人~

 殺人鬼と入れ替わるといえば、映画『ザ・スイッチ』の公開が延期となったが、こういった入れ替わりモノの入れ替わりのパターンってどれくらいあるのだろう。『君の名は。』、『パパとムスメの7日間』、『映画 あたしンち』しか知らない。
 こういった入れ替わりモノの醍醐味は、やはり入れ替わってからのキャストの演技だが、綾瀬はるか高橋一生両者とも素晴らしかった。「壁ドンして恫喝する綾瀬はるか、涙目になって怯える高橋一生」、これだけでも十分見応えがある。
 2人の運命はどうなるのか、周りの人間が入れ替わりに気づくのか、今季一の注目作である。

・君と世界が終わる日に

 ゾンビモノをあまり観てこなかったので、その界隈のファンからしたらどうなのかわからないが、自分は概ね満足である。ご都合主義的な展開もあるが、おそらくこれまでのゾンビモノの要素を詰め込んだ作品だと思うがどうなんだろう。
 第2シーズンをHuluでやるのは頂けないが、地上波だけでもちゃんとケリをつけてくれることを祈る。

『僕たちの嘘と真実』から見た欅坂46の正体

 映画を観てからブログに感想も書かずに2ヶ月以上経ってしまった。自分のだらしなさが嫌になる。一応頭の中では欅坂46で何なんだろうとか、なぜ改名せざるを得なかったのだろうとか考えてはいた。とはいえ、言葉にしなければ誰にも伝わらないし、何の意味もないと思い、今回ブログを書くことにした。
 ちなみに観賞直後の感想がこちら。

 Twitterではグループの動かし方のバランスについて言及した。私自身『サイレントマジョリティー』をきっかけにグループを好きになり、ライブを直接観ることはできなかったものの、常に動向に注目していた。しかし、ある時期から私と他のファンとの間で、グループの捉え方に違いがあるように感じられた。今回は、映画の感想というより、なぜ欅坂46はこのような終わりを迎えたのかについて自分なりの考え方を書いていきたいと思う。

そもそも欅坂46の魅力って何?

 欅坂46は2016年4月、『サイレントマジョリティー』で華々しいデビューを飾った。

  

 楽曲のみならず、MVでの彼女たちのパフォーマンスやいわゆる「笑わないアイドル」像も含めて大きな話題となった。私は「メチャカリ」のCMでこの曲を耳にし、MVを目にし、欅坂46を追いかけるようになった。
 そして、同年8月に『世界には愛しかない』、11月に『二人セゾン』をリリースし、楽曲の完成度、これまでのアイドルにないパフォーマンスで徐々に人気を確立していった。

  

  

 これら3曲の個々の完成度もそうだが、これらのリリースの流れも素晴らしいと思う。強いメッセージ性を持つこれまでにないアイドル像を打ち立てた『サイレントマジョリティー』、強いメッセージ性を持ちながらも、「青春」をテーマに等身大の言葉が綴られる『世界には愛しかない』、「青春」というテーマは同じに「出会いと別れ」のストーリーを描く『二人セゾン』。この流れによって、欅坂46は様々なアプローチで欅坂像を提示してきた。(とはいえ、メディア、特にテレビは「笑わないアイドル」ばかりアピールしていた気がするが)
 しかし、個人的には、翌年4月にリリースした『不協和音』辺りから違和感を覚えだした。この時期から周囲が欅坂に求めているのは、世の中の理不尽や不条理に立ち向かう姿を表現することのように感じた。

  

 さらに、同年7月にリリースしたアルバム『真っ白なものは汚したくなる』の収録曲『月曜日の朝、スカートを切られた』でも、理不尽と戦う姿を表現している。

  

 こういった表現を行うことを否定しているわけではない。ただ、この方向性を推し進めては、世間に消費されてしまうのではないか、せっかく『世界には愛しかない』や『二人セゾン』が生み出したものがなかったことになるのではないかという危惧があった。
 その後、『風に吹かれても』、『アンビバレント』と異なるタイプの楽曲をリリースしたものの、やはり世間が求めているのは『サイレントマジョリティー』と『不協和音』になっていった。もちろんこの2つの楽曲がグループを唯一無二の存在にしたことは事実であるが、世間のグループや楽曲の受け止め方が自分とは明らかに違うものであることも事実であった。
 その違いとは、歌詞をセリフとみるか、歌う人自身の言葉とみるかである。私は前者であるが、それは欅坂に限った話ではなく、すべてのアーティストに当てはまる話である。欅坂に関しては、歌詞をすべて秋元康が手掛けている(ゴーストライター説はここでは無視)のだから「歌詞はセリフ」という考え方は当たり前かもしれないが、意外と世間は歌詞を本人の言葉のように捉えているのような気がしてならない。だからこそ、「欅坂の歌詞に助けられた」という言葉が出てくる。
 私は、メッセージ性のある歌詞でも、それが聴き手である自分に向けて歌ってるようには聴こえない。歌詞の内容を自分と重ね合わせようと思わず、どんな歌を聴いても他人事という感じだ。どちらかと言えば、私は歌詞の「内容」よりも「表現」すなわち言葉の選び方を重視する傾向にあるように思う。それ以上に音と言葉の親和性を気にしているような気もする。

欅坂46は背負い人

 ここで、映画の話になるが、欅坂のすべての表題曲の振り付けを手掛けたTAKAHIRO氏は「欅坂46は背負い人」と言った。人々の苦悩を彼女たちが背負い、それを原動力にしてパフォーマンスするのだと。おそらく多くのファンはこの言葉に納得するのだろう。しかし、私は「何を言ってるんだ」と思った。歌詞は彼女たちの言葉ではない。セリフなのだ。彼女たちのパフォーマンスはお芝居なんだ。そんなものにマジになってどうするんだ。そういった思いが頭を駆け巡った。このとき、私と世間のグループの受け止め方の違いをはっきりと認識した気がした。
 結局、TAKAHIRO氏のような考え方でグループが動いてしまったため、世間はパフォーマンスするグループと自分を重ね合わせ、グループは背負い込む必要のないものまで背負わなければならなくなり、結果グループは疲弊してしまったように感じられる。別にTAKAHIRO氏を批判する気はない。そこでグループのバランスを取るのは運営の仕事だからだ。
 そして、そのような考え方をファンを持ったがために、本来9枚目のシングルの表題曲の予定であった『10月のプールに飛び込んだ』を「欅坂らしくない」という声が多かったのだと思う。その「らしさ」って一体何なのだろうか。前述のようにデビュー初期は様々なアプローチを試みたのに、結局ファンの思いは『サイレントマジョリティー』、『不協和音』、『黒い羊』に収束してしまった。自分たちの苦しみを彼女たちに背負わせて救われたいのだ。

  

櫻坂46、始動

 今年10月、欅坂46は「櫻坂46」へと改名した。12月には、櫻坂としてのデビューシングル『Nobody's fault』がリリースされる。最初タイトル見たときは、何か言い訳してるのかと思ったけど。あと、カップリングの『なぜ 恋をして来なかったんだろう?』が素晴らしい。

  

  

 欅坂から変化をそれなりに感じられるし、これからどんなものを見せてもらえるのか楽しみだ。たまにはTAKAHIRO氏以外が振り付けした表題曲も見てみたいと思ってる。とにかくメンバーが必要以上に苦しまないことを願う。

終わりに

 なんか「私はお前らオタクとは違う」みたいな文章になってしまったが、炎上するほど大した火種ではないから大丈夫だろう。
 映画の感想としては、シンガーソングライターのぱくゆう氏の動画や、

  

   

ライターの香月孝史氏のnoteをぜひ見てほしい。

 また、映画の感想ではないが、香月氏の著書『乃木坂46ドラマトゥルギー 演じる身体/フィクション/静かな成熟』もぜひ読んでほしい。本書のテーマは乃木坂46の「演じる」ことについての考察であるが、欅坂46についても少々言及されており、『サイレントマジョリティー』について非常に興味深い考察がされている。乃木坂46に限らず、アイドルに興味がある人ならば一読の価値がある本だと思う。

2020年秋ドラマ視聴状況

放送日時は関西地方に準拠しています。
今回からは視聴継続確定または予定のドラマのみ記述します。

月曜日

・監察医 朝顔

 前作に引き続き視聴。震災を扱いながらも、決して重くなりすぎず、観る人を優しく包んでくれる。今回2クール放送ということもあり、より丁寧に物語が描かれるだろう。しかし、1話の朝顔のナレーションが不穏で怖い。

・共演NG 

 近年の秋元康企画のドラマは散々な印象だったが、今回かなりの大当たり。監督・脚本が大根仁だからか?それだと、これまでのスタッフがダメダメだということになるが。
 キャストの演技がすごいから、2話の演技の切り替えや、3話の不倫でメンタルやられていくシーンもしっかり引き込まれる。

・あのコの夢を見たんです。

 毎回、今注目の若手女優が出てくるということで視聴。ゲストがみんな魅力的で素晴らしい。しかし、1話の「山里亮太中条あやみを振る」という妄想はやっぱ気持ち悪いな。山里亮太本人が出ずに、仲野太賀が演じているから許されるわけだが。3話「透明人間」は好みのストーリー。というか、がっつり乃木坂46の『君の名は希望』。

                    

火曜日

・おカネの切れ目が恋のはじまり

 三浦春馬が亡くなったということで、色々と注目を浴びた作品。個人的には、三浦春馬が亡くなる前から注目していたが、まさかこんなことになってしまうとは夢にも思わなかった。
 作品としては、やはり1話のあのオチでこれは面白くなると確信し、毎週楽しみにしていた。しかし、最終回で、おもちゃの猿彦が玲子(松岡茉優)の旅についていくとなったときには、もう三浦春馬は出てこないんだなとわかって寂しくなった。当然脚本家としては他にも描きたかったことがあったのだろうが、なんとかまとめ上げることが出来たのではないのだろうか。
 本当に惜しい人を亡くしてしまった。

・この恋あたためますか

 若干『恋はつづくよどこまでも』の2匹目のドジョウを狙っている気がしなくもない。とはいえ、『恋つづ』は一切観たことなくて、中村倫也に魅かれて視聴。
 仲野太賀と森七菜を観て、『あの夢』じゃねえかと思いながら、仲野太賀の別人ぷりに感動。別に好みのドラマではない。だけど、中村倫也、森七菜、仲野太賀のために視聴を継続するつもり。(別に佐藤健上白石萌音に興味がなかったわけではない)

・荒ぶる季節の乙女どもよ。

 原作、アニメに触れずに視聴。面白い。原作者自ら脚本手掛けるなら、それなりに面白さが担保されるのは当然。
 文芸部のキャスト全員素晴らしいが、『だから私は推しました』で知った田中珠里が素晴らしい。これを切っ掛けに売れてほしい。

水曜日

・相棒 19

 毎シーズン観てるし、今回も観るよね。しかし、1話のスカスカっぷりに驚き。話が2週にわたる回は、前半に詰め込みまくって、後半スカスカで、2週にする意味あるのかと毎回思ってるんだが。最近の輿水泰弘の脚本はインパクトはあるが、物語としてはグダグダという印象があって、特に今回はこの印象が強く、キャラとセリフがかみ合ってない気がした。新レギュラーの出雲麗音を他の脚本家が扱いきれるかどうかも不安。

・#リモラブ~普通の恋は邪道~

 楽しみにしていたドラマの一つではあったが、ここまで期待を大きく超えてくるドラマだとは思わなかった。
 1話からとてもコミカルに、テンポよく話が進んでいきながらも、大桜美々(波瑠)が段々人恋しくなってくる描写が丁寧に描かれており、大変素晴らしい。
 2話にして早くも「檸檬」の正体が発覚するが、ここからテンポを落とさず話を転がしていけるかどうかが見もの。おそらく大丈夫だと思うが。

木曜日

・ルパンの娘

 前作以上に振り切れたエンターテイメント。眼鏡かけた橋本環奈が可愛い。以上。

・30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい

 赤楚衛二が可愛すぎる。赤楚自身も高身長なのに、町田啓太の方が若干背が高いからか、赤楚に小動物感がある。上目づかいが魅力的。気のせいかもしれないが、「男同士だから無理」というより「俺なんかでいいの?」みたいな描写をしている気がして、そこも好感が持てる。『おっさんずラブ(シーズン1)』よりも好きかもしれない。(『おっさんずラブ』の劇場版とシーズン2はふざけ過ぎという印象)

・俺たちはあぶなくない クールにさぼる刑事たち

 これは意外と面白かった。「さぼる刑事」というテーマが決して出オチにならず、毎回趣向を凝らしたコメディになっている。主演2人のコミカルな演技が上手い。

金曜日

・タリオ 復讐代行の2人

 NHK蒔田光治が手掛けたドラマは安定して面白い。2話はがっつり『TRICK』だったが、そこはセルフオマージュと考えておこう。
 脚本は別の人だが、4話の父親への復讐、6話の復讐の連鎖はすごく見応えがあった。
 しかし、木村ひさしの演出はテンポが悪くて、やっぱり好きになれない。

土曜日

・35歳の少女

 柴咲コウすげぇ。ほんとに10歳の子どもに見える。あと、坂口健太郎のやさぐれた感じも新鮮。遊川脚本の割にはそこまでストレスなく見れるが、どこで視聴者をどん底に突き落とすかわからないので注意は必要。まあ1話の結人(坂口健太郎)の暴露にストレス要因詰め込みまくった気がするが。

・閻魔堂沙羅の推理奇譚

 2話に乃木坂46の賀喜遥香がゲスト出演するということで視聴。死者が自身の記憶のみで自分を殺した犯人を推理するので、そのヒントがどうしても不自然な感じで出てくるのは仕方のないことなのかな。脚本にはちょっと不満はあるが、演出は凝っていてそこは見応えありかな。

日曜日

・極主夫道

 面白くないわけがない。声優の津田健次郎が既に実写PVを作っていたので、このドラマ化には色んな声があったが、全く問題はなかった。それより、ミスミソウ』や『許された子どもたち』の内藤瑛亮監督が参加しているのが驚き。さらに、1話の瑠東東一郎監督よりもテンポ良くて面白かった。しかし、なぜこの原作で内藤監督に声を掛けたのかが気になる。

 

【ショートアイデア】「みざる、きかざる、いわざる」

A「なぁ」

B「ん?なんだ?」

A「『みる』ってさ、色んな漢字あるじゃん?あれ、『目』の下に足生えたやつとか」

B「『見学』の『見る』だな」

A「そう、それ。あと、その『見る』の横になんか足したやつ」

B「『観察』の『観る』だな」

A「そう。それってさ、なんか違いがあるのか?」

B「あるよ。『見学』の『見る』は、無意識に物が視界に入ってくるときに使って、『観察』の『観る』は、意識して目で追うときに使うんだ」

A「あ~なるほどなぁ。確かに『観察』とか、あと『観劇』ってこう意識して『観てる』もんな。ん?待てよ。でも、『見学』だって意識して『みてる』じゃないか。まさしく『観て』学ぶじゃないか」

B「お前バカだな~。体育の授業を見学して何を『観て』学ぶんだよ」

A「確かに!全然授業なんか気にしてない。サボれてラッキーって思う」

B「だろう?」

A「確かに確かに。じゃあさ『きく』も色々あるけど、それも同じような違いがあるってことか?」

B「そうだな。『新聞』の『聞く』は自然と耳に入ってきて、『盗聴』の『聴く』は自分から耳を傾けてるってことだな。英語で言う"hear"と"listen"の違いだな」

A「なるほど。"Listen to me"、『俺の話を聴け』だもんな。いや、でも、クレイジーケンバンドの歌詞って『俺の話を聞け』じゃなかったっけ?」

B「ん?そうだったか?」

A「ああ。うん。確かそうだった」

B「それはだな。配慮だよ」

A「配慮?」

B「だって、あっちの『聴く』じゃ読めない人がいるかもしれないだろ?」

A「確かにあっちの『聴く』は漢検3級だしな」

B「え?そうなの?」

A「ああそうだよ。でもさ、"hear"って『ヒアリング』ってあるじゃん?ほら、会社が不祥事起こしたときに、社員に『ヒアリング』するみたいな。あれって社員の話に耳を傾けてるよな?」

B「え?それか・・・。それはだな。そう、ああいうのは形だけなんだよ。別にヒアリングしようがしまいが、会社は誰を処分するか、どう対応するかっていうのはもう決まってるんだよ」

A「えぇ・・・。社会の闇だな・・・」

B「そうだ。だから、俺たちはそんな闇を見ないし、聞かないし、言わないんだ」

A「いや言っちゃってるじゃん。でも『闇』ってさ、暗くて見えないってことじゃん。なのに、漢字に『音』があるのおかしくない?」

B「は?もう次から次と・・・。それはだな、門が音を閉ざしてるんだよ。だから、闇は見ない、聞かない、言わない」

A「そうか・・・。見ざる、聞かざる、言わざるか・・・」

B「そうだ。見ざる、聞かざる、言わざるだ」

AとB、目をつぶり、耳を塞ぎ、口を閉じる。

暗転

2020年9月に観た映画たち

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46

 この映画の感想は別の記事で語りたいと思うが、欅坂46が届けるメッセージは所詮「他者の言葉」であり、「メンバーの言葉」ではないということ。そのことにメンバー、スタッフ、ファン、アンチ、全ての人たちが少しでも意識しておけば、こんなにメンバーが苦しむことはなかったのではないかと思う。細かいことは後日。

妖怪人間ベラ

 英勉監督が手掛けるということで鑑賞。とはいえ、『貞子3D』を手掛けた監督であることを忘れたわけではないので、ハードルを下げた状態で。
 感想は最初は良かったが、終盤の展開が雑過ぎ。最初は、『妖怪に人間ベム』の幻の最終回を観た主人公が狂っていく森崎ウィンの演技が、これまでの作品にはない新たな境地を見せていて良かった。さらに、ベラに嫉妬し、狂気に走る桜田ひよりもさすがの演技。あと、『3年A組』ではあまり良い印象のなかった堀田茜の演技が意外と上手くて、そこに驚き。
 しかし、終盤から残念な結果に。ベム無能すぎ。主人公が妖怪人間になったときの謎の感動BGM。そもそもベラの存在意義とは。完全に見切り発車した末、着地点を見失ったとしか思えない結末になっている。俳優の演技の見本市みたいな映画。
 ちなみに、映画の前日譚となるドラマ『妖怪人間ベラ~Episode0~』が配信されており、監督が映画とは異なるため、いつかはチェックしようかと思っている。

宇宙でいちばんあかるい屋根

  恋や家族に悩む女子中学生が、突然目の前に現れた老女に背中を押され、成長していく物語。清原果耶の演技が上手いのは分かっていたが、ここまで堂々と主役を全うできるとは思わなかった。あと、おそらく桃井かおりの演技をちゃんと観たのはこの映画が初めてだと思うが、ぶっ飛んでいながらも、しっかりとお婆さんをしていて、そこら辺のバランス感覚がすごいなぁと思った。

TENET テネット

  クリストファー・ノーラン監督の作品は「バットマンシリーズ」しか観ていないため、どのような映画体験が待っているのか未知の状態で鑑賞。
 最初はわざわざ時間を逆行する意味がわからず、ただただ逆行する人・物を呆然と観ている感じだった。主人公が回転ドアをくぐってからやっと逆行の意味を理解してからも、これまでにない映像表現に呆気にとられるばかり。それでも、観ていてすごくワクワクし、唯一無二の映像体験が出来たのではないかと思う。
 とはいえ、映画を観終わって冷静に考えると、最後の時間の挟撃作戦の意味がよく分からず、映像の迫力に飲み込まれた気もしなくはないが、最後の男の友情含めて好みの作品ではあった。

窮鼠はチーズの夢を見る

 原作未読で観たのだが、こんなにエロいとは思わなかった。それにこんな痛々しくて、面倒な恋愛映画だとは思わなかった。だけど、すごく面白かった。
 成田凌の目の演技がすごくて、彼の目を見れば何を考えているのか自ずとわかる。この映画で初めて成田凌の魅力に気付いた気がする。
 あと、大倉忠義演じる恭一が、婚約者と別れを告げ、成田演じる今ヶ瀬を待つラストシーンが美しくて、切なくて。他の男と寝て泣いてる今ヶ瀬と清々しい笑顔の恭一の対比が印象的で、今ヶ瀬はもう恭一の元には帰ってこないかもしれないが、それでも恭一は自分の本当の気持ちに向き合う覚悟を決める。ビターなエンドではあるが、これには思わず泣きそうになった。

アルプススタンドのはしの方

 試合のシーンを一切映さずに、音と俳優の演技で試合があるように見せるという工夫が良かった。あと、メイン4人のちょっと間の抜けたやり取りがかなり好み。ただ、吹奏楽部のエピソードだけちょっと薄いかなとは思う。これは映画オリジナルエピソードらしく、おそらく映画として飽きがこないための工夫だとは思うが、別になくても良かったのではないかと思う。
 とはいえ、決して青春の主役ではないが、何かに懸命に生きる彼らは誰よりも輝いている。

映像研には手を出すな!

 この映画の感想も別の記事で語りたいと思う。原作、アニメに触れた乃木坂ファンの自分としては概ね満足の出来。