サブカルworkshop

2020年9月に観た映画たち

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46

 この映画の感想は別の記事で語りたいと思うが、欅坂46が届けるメッセージは所詮「他者の言葉」であり、「メンバーの言葉」ではないということ。そのことにメンバー、スタッフ、ファン、アンチ、全ての人たちが少しでも意識しておけば、こんなにメンバーが苦しむことはなかったのではないかと思う。細かいことは後日。

妖怪人間ベラ

 英勉監督が手掛けるということで鑑賞。とはいえ、『貞子3D』を手掛けた監督であることを忘れたわけではないので、ハードルを下げた状態で。
 感想は最初は良かったが、終盤の展開が雑過ぎ。最初は、『妖怪に人間ベム』の幻の最終回を観た主人公が狂っていく森崎ウィンの演技が、これまでの作品にはない新たな境地を見せていて良かった。さらに、ベラに嫉妬し、狂気に走る桜田ひよりもさすがの演技。あと、『3年A組』ではあまり良い印象のなかった堀田茜の演技が意外と上手くて、そこに驚き。
 しかし、終盤から残念な結果に。ベム無能すぎ。主人公が妖怪人間になったときの謎の感動BGM。そもそもベラの存在意義とは。完全に見切り発車した末、着地点を見失ったとしか思えない結末になっている。俳優の演技の見本市みたいな映画。
 ちなみに、映画の前日譚となるドラマ『妖怪人間ベラ~Episode0~』が配信されており、監督が映画とは異なるため、いつかはチェックしようかと思っている。

宇宙でいちばんあかるい屋根

  恋や家族に悩む女子中学生が、突然目の前に現れた老女に背中を押され、成長していく物語。清原果耶の演技が上手いのは分かっていたが、ここまで堂々と主役を全うできるとは思わなかった。あと、おそらく桃井かおりの演技をちゃんと観たのはこの映画が初めてだと思うが、ぶっ飛んでいながらも、しっかりとお婆さんをしていて、そこら辺のバランス感覚がすごいなぁと思った。

TENET テネット

  クリストファー・ノーラン監督の作品は「バットマンシリーズ」しか観ていないため、どのような映画体験が待っているのか未知の状態で鑑賞。
 最初はわざわざ時間を逆行する意味がわからず、ただただ逆行する人・物を呆然と観ている感じだった。主人公が回転ドアをくぐってからやっと逆行の意味を理解してからも、これまでにない映像表現に呆気にとられるばかり。それでも、観ていてすごくワクワクし、唯一無二の映像体験が出来たのではないかと思う。
 とはいえ、映画を観終わって冷静に考えると、最後の時間の挟撃作戦の意味がよく分からず、映像の迫力に飲み込まれた気もしなくはないが、最後の男の友情含めて好みの作品ではあった。

窮鼠はチーズの夢を見る

 原作未読で観たのだが、こんなにエロいとは思わなかった。それにこんな痛々しくて、面倒な恋愛映画だとは思わなかった。だけど、すごく面白かった。
 成田凌の目の演技がすごくて、彼の目を見れば何を考えているのか自ずとわかる。この映画で初めて成田凌の魅力に気付いた気がする。
 あと、大倉忠義演じる恭一が、婚約者と別れを告げ、成田演じる今ヶ瀬を待つラストシーンが美しくて、切なくて。他の男と寝て泣いてる今ヶ瀬と清々しい笑顔の恭一の対比が印象的で、今ヶ瀬はもう恭一の元には帰ってこないかもしれないが、それでも恭一は自分の本当の気持ちに向き合う覚悟を決める。ビターなエンドではあるが、これには思わず泣きそうになった。

アルプススタンドのはしの方

 試合のシーンを一切映さずに、音と俳優の演技で試合があるように見せるという工夫が良かった。あと、メイン4人のちょっと間の抜けたやり取りがかなり好み。ただ、吹奏楽部のエピソードだけちょっと薄いかなとは思う。これは映画オリジナルエピソードらしく、おそらく映画として飽きがこないための工夫だとは思うが、別になくても良かったのではないかと思う。
 とはいえ、決して青春の主役ではないが、何かに懸命に生きる彼らは誰よりも輝いている。

映像研には手を出すな!

 この映画の感想も別の記事で語りたいと思う。原作、アニメに触れた乃木坂ファンの自分としては概ね満足の出来。