サブカルworkshop

仮面ライダーディケイド×セイバー 上巻「集う物語、戦う剣士。」

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・登場人物紹介

 門矢士 / 仮面ライダーディケイド・・・・・・数多くの仮面ライダーの世界を旅し、世界の危機を救ってきた。自身に関する記憶をほとんど失っている。
 光夏海・・・・・・光写真館の主人の孫娘。どういうわけか光写真館で士たちは時空を越えることができる。
 小野寺ユウスケ / 仮面ライダークウガ・・・・・・「クウガの世界」の仮面ライダー。「クウガの世界」で士と共闘したのち、共に世界を旅するようになる。
 神山トウマ / 仮面ライダーセイバー・・・・・・「セイバーの世界」の仮面ライダー。聖剣の力でメギドとなった人々を救う。
 仮面ライダーカリバー・・・・・・「セイバーの世界」に突如現われた、邪剣を操る謎の仮面ライダー

 

○光写真館前

   士、夏海、ユウスケ、光写真館から出てくる。

ユウスケ「ここが次の世界か~」
夏海「どんな世界なんでしょう?」

   士、昭和の文豪のような格好をしている。

ユウスケ「士、なんだその格好」
夏海「なんだか作家さんみたいですね」
ユウスケ「それにしても昔過ぎない?」
士「作家か……それがこの世界での俺の役割か」

   士、写真を撮り始める。
   士たちの目の前を三匹の子豚が通り過ぎる。
   子豚たちはそれぞれわらの家、木の家、レンガの家に入っていく。

夏海「あれって……」
ユウスケ「『三匹の子豚』だよね?」

   周りを見渡すと、雲に乗って空を飛ぶ猿、お菓子の家から出てくる兄妹、並んで音楽を奏でるロバ、犬、猫、ニワトリの姿が。

夏海「これは一体?」

   士、ランプを拾いあげて擦ると、ランプの中から魔人が出てくる。
   驚くユウスケと夏海。

士「だいたい分かった。ここは物語の登場人物が住んでる世界か」
ユウスケ「えっ?ライダーの世界じゃないの?」
士「知るか。とにかくこの世界で俺のやることを探すとするか」

   道端でバイオリン弾くキリギリスと、その音楽に合わせて踊るアリ。

夏海「これは『アリとキリギリス』ですね」

   アリとキリギリス、突然震え出し、メギドに変貌する。
   メギド、周囲の人々を襲う。

夏海「(驚いた声で)どういうことですか?」
ユウスケ「とにかく襲われてる人たちを助けないと」
士・ユウスケ「変身」

   士とユウスケ、変身してメギドと戦闘。
   ディケイドとクウガ、メギドを圧倒していき、必殺技を決めようとする。

トウマ「待ってください!」

   トウマ、ディケイドとクウガの前に立ち塞がる。

クウガ「危ない!離れてて!」
トウマ「いえ、これは僕の使命なので」

   トウマ、聖剣ソードライバーを装着し、懐からブレイブドラゴンワンダーライドブックを取り出す。

クウガ「本?」
トウマ「変身」

   トウマ、仮面ライダーセイバーに変身する。

クウガ「もしかしてこの世界の仮面ライダー?」

   セイバー、メギドと戦闘し、必殺技でメギドを斬る。
   メギド、元の姿に戻る。
   セイバー、変身を解除し、アリとキリギリスの元へ向かう。

トウマ「大丈夫?」
アリ「ありがとう、トウマ」
キリギリス「死ぬかと思った」

   ディケイドとクウガ、変身を解除する。
   トウマ、士たちの元に来る。

トウマ「門矢士さん、小野寺ユウスケさん、光夏海さんですね」
夏海「どうして私たちの名前を?」

 

○山頂

   謎の人物、持ってる剣を地面に突き刺す。
   そこから闇が出てきて、山のふもとにある街まで流れていく。

 

○トウマの自宅

   トウマの自宅には、夥しい数の本が本棚に収納されている。
   トウマ、士たちにお茶を出す。

夏海「ありがとうございます」
トウマ「この世界は、あらゆる世界で語られている物語の登場人物たちが暮らしています。
    物語を作った人のイメージ、それを読んだ人のイメージ、様々な人たちの物語に対するイメージが形となっています」
夏海「あらゆる世界って、もしかして私たちの世界とか並行世界のことですか?」
トウマ「はい、この世界はすべての並行世界と繋がっています。
    そして、それらの世界の情報はここにある本に全て記されています」
ユウスケ「全部!?すごっ……」
夏海「それじゃあ士くんのことも分かるんじゃないですか?」
トウマ「残念ながら……」

   トウマ、本棚から一冊の本を取り出し、「門矢士」の項目を士たちに見せる。

夏海「『門矢士』...…『仮面ライダーディケイド』……これだけですか?」
トウマ「夏海さん、ユウスケさん、お二人のことは詳細に書かれていますが、士さんのことは……」
夏海「そんな……」

   士、本を手に取り、ページをペラペラめくっていく。

士「別に構わん。俺が何者であろうが、俺は俺だからな」
トウマ「士さんは強いですね」
夏海「何も考えてないだけですよ」
士「よし、夏ミカンの黒歴史でも読んでやるか」

   士、立ち上がって、本棚の方へ向かって行く。

夏海「(慌てた様子で)やめてください!光家秘伝、笑いのツボ!」

   士、夏海にツボを押され、勝手に笑い出す。

士「(笑いながら)夏ミカン!お前、ふざけんな!」

   士、机の上に置いてある原稿に気づき、それを手に取る。

士「何だ、これは?」
トウマ「(慌てた様子で)あっ、それは!」

   夏海、横から原稿を覗き込む。

夏海「『三匹の子豚』、『ランプの魔人』……、もしかしてこれって……」

   トウマ、士から原稿を奪い返す。

士「俺じゃなくて、お前が作家とはな」

   原稿の表紙には「ワンダーストーリー / 神山トウマ」と書かれている。

トウマ「(恥ずかし気な様子で)作家だなんて……ただの趣味です」
ユウスケ「やっぱこの世界で暮らしてると、色々と物語が浮かんじゃうんだ」
トウマ「書いたところで読ませる人はいませんけどね」
士「それより、あの怪物は何なんだ?」
トウマ「(気を取り直して)あれはメギド、物語のイメージが暴走したことで生まれる怪物です」
夏海「イメージが暴走?」
トウマ「この世界の住人は物語のイメージが具現化した存在です。
    だけど、その物語の作り手が亡くなったり、物語を読む人々のイメージがブレたりすることで、住人の存在は危うくなります」
ユウスケ「イメージがブレるって?」
トウマ「『アリとキリギリス』は知ってますか?」
夏海「はい」
ユウスケ「もちろん」
トウマ「では、その物語の結末は?」
ユウスケ「冬の備えをせずに遊んでばかりいたキリギリスが、凍え死にそうになっていたところをアリに助けてもらうんだよね」
夏海「違いますよ。遊んでばかりのキリギリスは、アリに食べ物を分けてもらおうとしたけど、断られて死んでしまう……ですよね?」
ユウスケ「えっ?違うって」
夏海「そっちが間違ってますよ」
トウマ「いえ、どちらも合ってます。
    物語は時代、土地、人によって変わります。
    それによって、物語に対するイメージはブレ、イメージが暴走した結果、住人はメギドに変わってしまう」
士「だいたい分かった。そのメギドをお前の剣で斬ることで、元の姿に戻すってことか」
トウマ「はい」
ユウスケ「だからさっき俺たちのことを止めたのか」
トウマ「メギドは他の住人を襲うという危険もありますが、それ以上にイメージの暴走が物語を通して並行世界に影響を与え、最悪世界の消滅を招く危険性があります」
夏海「世界の消滅……」

   トウマ、聖剣とワンダーライドブックを取り出す。

トウマ「だから僕はこの聖剣と物語の力が込められたワンダーライドブックを使って、暴走したイメージを元に戻しているわけです」
ユウスケ「そんな大変なことを一人でやってるの?」
トウマ「ええ、それが僕の使命ですから」
夏海「ずっと気になってたんですけど、トウマさんって何の物語の登場人物なんですか?」
トウマ「(言いづらそうな様子で)それは……」

   三匹の子豚、慌てた様子でトウマの自宅に入ってくる。

子豚「トウマ!」
トウマ「どうしたの?」
子豚「メギドが……!」

 

○トウマの自宅

   誰もいないトウマの自宅に謎の人物の姿。
   謎の人物、机に置いてあるトウマの原稿に近づく。

 

○街

   暴れるメギド、逃げ惑う住人たち。
   士たち、現場に到着。

トウマ「ここは僕に任せてください。変身」

   トウマ、変身し、メギドの方へ走り出す。

ユウスケ「士、俺たちは襲われてる人たちを助けよう」
士「ああ」
士・ユウスケ「変身」

   士とトウマ、変身し、襲われてる人たちを助けようとする。
   もう一体メギドが現れる。

クウガ「他にもメギドが!?」

   クウガ、もう一体のメギドも退ける。
   続々とメギドが現れる。

クウガ「こんなにもメギドが!?」

   メギドたちに取り囲まれてる人々。

クウガ「あの人たちが危ない!」

   ディケイド、仮面ライダーウィザードにカメンライドし、《アタックライド・バインド》を用いてメギドを拘束する。
   セイバー、拘束されたメギドを斬り、元の姿に戻す。

ディケイド「おい、こんなにメギドが出るとか聞いてないぞ」
セイバー「いえ、こんなことはじめてです」
クウガ「一体何が起きてるんだ?」

   カリバー、士たちの目の前に現れる。

クウガ「誰だ?」
セイバー「あれは聖剣?それにワンダーライドブックも」

   カリバー、剣を地面に突き刺す。
   そこから闇は現れ、その闇に包まれた人々はメギドに変わる。

セイバー「みんながメギドに!?」
クウガ「おい!お前は何者だ!?」

   カリバー、クウガを斬りつける。

ディケイド「ユウスケ!」

   カリバー、セイバーを斬りつけようとする
   セイバー、カリバーの剣を受ける。

セイバー「あなた、何者ですか?」
カリバー「俺はお前だ」
セイバー「何?」

   ディケイド、仮面ライダーブレイドにカメンライドし、カリバーを斬りつける。

ディケイド「トウマ!こいつは俺が相手する。
      お前はメギドを元の姿に戻せ」
セイバー「はい!」

   セイバー、メギドの方へ走り去る。

カリバー「お前はこの世界の人間ではない。さっさと立ち去れ」
ディケイド「悪いが、人に命令されるのは嫌いでね」
クウガ「超変身」

   クウガ、タイタンフォームへフォームチェンジし、ディケイドの加勢をする。

カリバー「お前も別世界の人間。まとめて消えてもらう」
クウガ「トウマくんと同じ剣と本を持ってるのに、なんでこんなことするんだ?」
カリバー「俺がセイバーと同じだからだ」
クウガ「何だって?」

   セイバー、すべてのメギドを元の姿に戻す。
   ディケイドとクウガ、カリバーを圧倒し、必殺技を打ち込む。
   カリバー、爆発する。
   ディケイドとクウガ、変身を解除する。
   トウマ、士たちの元に来る。

トウマ「みんな、元の姿に戻しました」
ユウスケ「俺たちもあいつを……。しかし、あいつ、何者だったんだ?」

   カリバー、炎の中からトウマと瓜二つの姿(闇トウマ)を現す。

トウマ「えっ?」
ユウスケ「トウマくんがもう一人?」
闇トウマ「(邪悪な笑顔を浮かべながら)よお、俺」
トウマ「あなたは何なんだ?どうして僕の姿を?」
闇トウマ「言っただろ?俺はお前、お前は俺」
トウマ「だからそれはどういう意味なんだ!?」
闇トウマ「そう怒鳴るなって」

   闇トウマ、トウマの原稿を取り出す。

ユウスケ「それはトウマくんの!」

   闇トウマ、原稿を剣で真っ二つに斬る。
   すると、住人たちが消滅していき、世界の崩壊が始める。

トウマ「みんなが消えていく……それに世界も……どうして……」
闇トウマ「これは全部お前が望んだことなんだぜ。
     俺はそれを叶えてやってるんだよ」
トウマ「僕が望んだこと……?
    (震えた声で)違う……僕はそんなこと!」

   トウマ、叫びながら変身し、カリバーの方へ突っ込んでいく。

 

                                ー下巻へ続くー